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先日、お客様と話しをしていて僕がホラー好きという話をしたところ、
小説を紹介してもらいました。移動の合間に読みながらで、この間ようやく読み終わりました。
ヘンリー・ジェイムズ 著『ねじの回転』
Henry James : The Turn of The Screw 1895
著者ヘンリー・ジェイムズはニューヨークの生まれです。
父ヘンリー・ジェイムズは宗教哲学者、兄のウィリアム・ジェイムズも著名な心理学者、哲学者だそうです。
ハーバード大学を退学後小説を書き始め、1875年にヨーロッパに移住してから本格的な文学活動に入りました。
ジョイスやプルーストに影響を与えた心理小説の祖とされています。
スティーブン・キングをして「あらゆるホラー小説の原点であり傑作」と言わしめたのが、
今回僕が読んだ『ねじの回転』という本です。
主人公は貧しい田舎から出てきた美しい女性の家庭教師。求人広告を見て尋ねたのは
上流階級のお屋敷でした。現れたのは魅力的な男性で、郊外の屋敷にいる親戚の
子供(お兄ちゃんと妹の2人)の面倒を見て欲しい、というものでした。
破格の給料と引き換えに出されたたった一つの条件、それは何が起きても自分に
トラブルを持ち込まないで欲しい、という奇妙な依頼でした。。。
ここからはあらすじに踏み込むので、興味のある方はmoreで続きをどうぞ。
さてこの『ねじの回転』、この後の展開はと言うと郊外の屋敷にやってきた家庭教師は
そこで天使のように美しく可愛らしい子供2人と出会います。
聞けば兄は小学校に行っていたのですが、そこを退学になったとか。
その家庭教師には、こんな天使のような子供が退学になる事が全く理解できません。
2人の勉強を見ながらまるで天使と暮らしているかのような日々が過ぎるのですが、ある時偶然
以前この屋敷にいた従者と前任の家庭教師を目撃します。ですが、その2人は既に死んでいたのです。
その後、幽霊2人が子供達を連れ去ろうとしている事が分かった家庭教師は、度々現れる幽霊から
子供達を守ろうと懸命な努力をするのですが、ある時ふと、子供達もその幽霊に気づいているのでは、
という疑念が浮かんできます。
しかしその一方で実は自分にしか幽霊は見えていないのでは、とも思い悩む家庭教師。
それをあざ笑うかのように徐々に本性を現す子供達。幽霊に悪の意思を与えられているのだと思い、
それでも必死に子供達を守りつつ、最後に決戦が待っていました。。。
とまあ、かいつまんで書くとこんなストーリーです。
読後の感想としては、とりあえず全く怖くはありませんでした(笑)
厳密にはホラー小説としての怖さではなく、サイコサスペンス的な描写や展開が見受けられました。
幽霊そのものの恐怖感は一番最初の登場には感じますが、それ以降は存在するのが
前提となっていますので、登場の恐怖はありません。
加えて、何か危害を加えてくる気配もないため猟奇的な展開にもなりません。
結局後半は、男の子マイケルの持つ本心を探るべくもどかしいばかりの心理戦が展開されます。
それは怖いというよりもあらゆる妄想を掻き立てる描写に留まっています。
全体を通して心理描写での恐怖感を増長させる作風となっており、これが1895年当時斬新であったのが
名作となった所以なのかな、と思いました。ただその一方である意味難解な作品になっており、全てが
明らかにならずに物語は終わってしまいます。
「幽霊」という虚像を通して人が持つ「悪」や「疑念」という概念を具現化して読み取らせようと
している、とも受け取れます。それがまたこの物語を面白くしているのでしょう。
「幽霊」という存在が恐怖の対象であるのなら、「悪」「疑念」もまた、そうだからです。
19世紀の終わりに書かれたこの作品、ボリュームは多くはないのですが、ゆっくりと
ページをめくりたくなるような気分になります。
古典的な名作に出会えた事は大きな喜びでした。教えて頂き感謝、感謝です。
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