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すべての小売業にとってもはやメインチャネルとなりつつあるネットショップ、中でも大手と言えばamazon.com、楽天、Yahoo!ショッピング、あたりでしょうか。これらの中でやや後発であるamazon.comが、この11月1日より国内完全送料無料(一部お急ぎ便などを除く)を実施しました。このトピックについて思うところがありましたので、簡単に書いてみたいと思います。
日本においてネットショップが出て来たのは、90年代後半の事です。当時はWEBサイトを持っている企業ないし小売店は限られており、個々のサイトが通信販売の延長で自前のネットショップを始めていました。ホームページビルダーなどが市場を賑わし、こうしたツールを使って拙いHTMLの知識と悪戦苦闘しながらシステムを作っていました。今と違い電子決済もまだまだ未発達でしたので、カード決済というのはごく僅かで、多くは銀行振込や代金引換、郵便振替などの手法が用いられていました。
一方利用者側も今とは利用環境が違いました。自由にネットサーフィン出来る環境も揃っていなく、回線はようやくADSL、まだまだISDNが当たり前の時代で、画像表示に都度数秒かかるという中でのネットショッピングでした。この頃はどちらかと言うと、マイナーで趣味性の強い商品が活発に取引されていました。利用者側が不慣れな手段を使ってでも手に入れたい物、そうした商品に優位性があったと言えます。
この状況に変化が見られるのは楽天の登場です。当時いわゆるITバブルが緩やかに始まっており、その中で現れた企業の一つでした。楽天は個々の小売店が独自で開いていたネットショップをバーチャルモールとして統括する事で、ユーザーに利便性と安心性をもたらすビジネスモデルを掲げていました。この試みは徐々に脚光を浴び、加速度的に小売店は楽天へと流れていきます。
楽天は独自ツールを持っており、ネットショップのテンプレートに添って商品を登録すれば企業担当者はとりあえずショップをオープン出来ます。これ以外にも顧客管理や在庫管理など、楽天システムの中で一通りの業務が完遂出来る事も人気の理由でした。その後、楽天はポイント制を導入します。これは購入時にポイントが発生し、ユーザーはA店で購入した際に獲得したポイントを、B店で利用する事が出来ます。この試みも成功し、ポイントを有効利用するために、それ以外のショッピングサイトで売っているようなものでも、ユーザーはわざわざ楽天で購入するのです。
こうした囲い込みが成功を収め、日本のネットショップ事情は楽天が独占するかと思われていました。ところが2000年代に入り、海外からamazon.comというネットショップがやってきます。当初のamazon.comの特徴は膨大な在庫データベースによる書籍販売でした。ほどなくクローズアップされる「ロングテール理論(在庫を長い尻尾のごとく少量でも多品種網羅する)」のアプローチは、書籍販売という分野に風穴を開けます。同じようにCD販売も行なっており、書籍やCDのマイナー作品を探すにはamazon.comは便利だ、という認識がユーザーに広がります。
また、amazon.comは早くから発送に力を入れていました。ネットショップを利用する上で価格と同じ位重視されるのが、いつ届くかというデリバリー機能です。楽天などは個々の出店企業に配送は任されているため、ユーザーはある商品を買う際にどの出店者から買えば一番早く届くか、という事をユーザー自身が比較する必要があります。これに対してamazon.comの場合は巨大な自社倉庫を持ち、全てそこから出荷する事で翌日や2日後の到着をアピールしていました。
こうしたamazon.comの戦略は、実に先見の明があると言えます。21世紀はスピードの時代、ユーザーはあらゆる行為に無意識にスピードを求めるようになってきました。翌日到着という、いち早くそのニーズに応えていたamazon.comは、徐々に取り扱いカテゴリを増やしていきます。家電、食品、インテリア、アパレル、化粧品など。同時に、時間をかけて蓄積されていくレビュー機能、商品購入時に表示されるおすすめ商品機能、アフィリエイト、後発で登場したシステムではありますが、楽天とは違ったサービスを次々に提供し、利用者を増大させて行きます(現在の楽天やYahoo!ショッピングでも類似的なものが存在しています)。
更にamazon.comはマーケットプレイスという中古品販売も始めます。これは一般ユーザーでも販売者になる事が出来、草の根レベルの売買がamazon.comというチャネルを通じて行なえるという訳です。例えばある書籍を買おうと思った際に、新書が絶版になっていても中古本で入手出来たりと、ユーザーのニーズをamazon.comでとにかく拾う、こうしたシステムは素晴らしいですね。Yahoo!や楽天のオークションでも中古品は探せますが、大事なのはamazon.comというシステムにアクセスするだけで新品も中古品も同時に表示されて購入出来る事、これも先に定着させたamazon.comに一日の長があります。
取扱い品目を増やしながら、amazon.comは一般企業も出店可能になります。こうする事で価格競争の制度も導入され、ユーザーはどの出品者から購入するかを選べるようになります。楽天の場合は個々の出店者のサイトに次々にアクセスするという感覚ですが、amazon.comの場合はインターフェイスはもっとシンプルで、ユーザーはamazon.comのシステムの中で出店者をほとんど意識する事無く購入しています。
実はこの違いが大きいんですよね。ユーザーはamazon.comというシステムに慣れれば慣れるほど、そこでのシンプルなシステムによる買い物を好むようになる一方、楽天やYahoo!ショッピングのようなショッピングモールはあくまでポータルという機能です。広告などで埋め尽くされるポータル画面を遷移して出店者ページを渡り歩くのは、簡単に買い物をしたいユーザーにとっては苦痛以外の何者でもなくなってきます。
アパレルなどの分野は、まだまだ楽天の方が商品量が充実していますし、個々の出店者の頑張りが楽しくありますが、家電や書籍など分かりきっている物を購入するのには、楽天のシステムはやや煩雑で洗練されていないと言えます。
ここ数年、amazon.comの売上高は順調に上昇しています。2010年の第三四半期は前年同期が54億ドルだったのに対して今年は75億ドル、巨大なマーケットだという事が分かります。日本ではまだまだ市場が小さな電子書籍用ハードウェアKindleも販売は絶好調の様で、世界的に見てもamazon.comは益々発展していくでしょう。
そしてこの11月、今回のトピックである全品送料完全無料、ついにネットショップ事情は大きなターニングポイントを迎えたな、という印象です。amazon.comの商売上手なところは、送料無料については日数は2〜3日かかるのですが、お急ぎ便についてはプラス350円、当日お急ぎ便については500円かかるのです。今までamazon.comを利用していた人にとっては、高額品になればなるほどプラス幾らか払っても翌日や当日に受け取る事に抵抗がなくなっています。結果、楽天やYahoo!ショッピングと総額が変わらないとしても、システムの便利さや慣れ親しんだサイトであるamazon.comから、そうたやすくは離れないように思います。
個人的には、なぜ楽天やYahoo!ショッピングがこのサービスを他社に先駆け一番乗りでシステムに取り入れなかったのか、この経営判断のマズさが今後明暗を分けると思います。利用者にとって価格と同じ位重視するのがスピードである以上、送料無料をアピールしつつ有料で当日や翌日到着というのは時代の流れから言って必然ですし、21世紀は先行勝利の時代、何でも一番最初にやり始めた企業が覇権を握るのです。しばらくして他のサイトが同じようなサービスを始めても、その頃にはamazon.comのシステムはもっと洗練されているでしょうし、早く始める事で積み上がる信頼性は盤石なものになるでしょう。
楽天やYahoo!ショッピングも翌日到着のサービスは実施しています。しかしそれは出店者のサービスに任せています。要するに出店企業に無理を押し付けている訳です。これではこのサービスは浸透するはずも無く、ユーザーはいつまでも欲しい商品を取り扱っているA店とB店について、送料や到着日時を比較するのです。
益々サービスを充実させていくamazon.com、一方自分たちは出店企業から手数料を徴収する事で潤っているその他のショッピングモール運営企業、どちらが勝利を収めるのでしょうか。ユーザーにとっては安く、早く、気に入った商品が届く事が第一であり、amazon.comが導入した全品送料無料というサービスは、正にその要求にストレートに応えた、革新的なサービスに思えて仕方がありません。
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